01. AVANT LE DESERT (Antonio Marangolo) 8:15
これは強烈な1曲。短絡的に和訳すれば「砂漠の前に」となるタイトルだが、これも恐らくは、砂漠化する以前はパラダイスだったと云うサハラ砂漠の事をイメージしたもの。サハラと云う具体的なロケーションについては、当地の公用語(仏語)で命名されたタイトルからも明らか。楽曲の方もそんなタイトルのイメージそのまま。ペーソスとダイナミズムが交差する内容はまさに鳥肌モノ。アラビア的な弦楽リフや砂漠の砂を踏みしめているかのような各種エフェクト処理など、具体的イメージを踏襲するサウンドも絶大な臨場感。荒涼としたヴィジュアルを目の当たりにしているかのよう。テナーとアコピのソロはあるものの、スローな同一のビートが延々と続く8分強と云う長丁場の1曲では、ここまでワクワクさせられるのも極めて稀。コーラス間の2箇所で登場するダイナミックなパートがとにかく物凄いインパクト。 |
02. YEZ (Antonio Marangolo - Agostino Marangolo) 4:51
WRのようなダンモな4ビート曲。ソプラノ+ポリシンセのユニゾンリフもショーター+ザヴィヌルの世界。エレベ、ソプラノ、鍵盤もそれぞれに出色のソロを披露。ちなみにWRの歴代のメンツに例えれば、アゴスティーノのタイコはまさしくハキム型。と云うより、出色のダイナミクスと抜群の切れ味は、あのハキムにも勝るとも劣らぬインパクト。これはアゴスティーノのポテンシャルを改めて見せ付ける貴重な1曲。とにかく抜群のセンス。 |
03. STAR (Antonio Marangolo) 5:54
16ビートスローのソプラノインスト。抑制された鋭角な16ビートのリズムセクションはWR的ではないものの、モード感覚バリバリの断片的なヴォイシングではやはりWRを連想。と云うよりこれは、WRの偉大な足跡を踏襲する完全オリジナルで良質なフォロワー。 |
04. ARTEMIDE (Antonio Marangolo) 4:15
ボサのエッセンスを取り入れたスリリングかつメロウなインスト。前曲に引き続きアントニオの独壇場。アントニオの作曲センスと個性が滲み出る1曲。 |
05. ALCANTARA MOOD (Antonio Marangolo - Agostino Marangolo) 5:13
アゴスティーノのソロで幕を開ける軽快な4ビートスイング。バリトン+鍵盤+エレベのユニゾンテーマとアゴスティーノのブラシワークが真骨頂の1曲。アヴァンギャルドなセンスのバリトンのソロも面白い。 |
06. BAGNO MEDUSA (Antonio Marangolo - Agostino Marangolo) 4:29
グルーヴィな16ビートシャフル。ギターのワウワウバッキングも登場。タイコがフツーのシャフルから3連のヴァリエーションに変化する中、センターCHに纏められていたリズムセクションを左右にパンするミキシングもかなり面白い。アントニオのハーモナイザー処理されたソプラノも今更ながらに斬新。 |
07. LE CHOIX (Antonio Marangolo - Agostino Marangolo) 4:36
ボサ感覚のミドルテンポ曲。序盤ではバリトンとテナーを持ち替える中、終盤ではソプラノに持ち替えるアントニオ独壇場の1曲。鍵盤のプリンチパートも流麗なソロを披露。ちなみに鍵盤ソロは2曲目以来。 |
08. RETURN TO NEVER (Antonio Marangolo - Agostino Marangolo) 3:54
ワイルドなリズム+モード感覚が昇華する出色の16ビート曲。客演のジェジェ・テレスフォロも強烈なスキャットを披露。モード感覚バリバリのユニゾンリフにも飛び入りするテレスフォロだが、これはあのアル・ジャロウの「スペイン」にも匹敵するパフォーマンス。プリンチパートの鍵盤ソロも最高潮にヒートアップ。これは絶大なインパクトの1曲。 |
09. PRIMA DI SERA (Pierpaolo Principato) 2:20
アルバムではプリンチパート唯一のオリジナル曲。ネイティヴ感覚の壮大な鍵盤インスト。これは最終トラック"5/4 di luna"のプロローグ的な1曲。情緒豊かなアコピの音色がクライマックスを締める中、間髪入れずに最終トラックへ突入する。 |
10. 5/4 DI LUNA (Antonio Marangolo - Agostino Marangolo) 4:35
タイトル通り、リリカルなメロとは裏腹の5/4拍子のポリリズムが炸裂するルナティックな1曲。4/4拍子16分割のアクセントに終始するタイコと5/4拍子アクセントのエレベによるポリリズムを貫く内容。論理的には単純な仕掛けながらも、バリトンのメロまでがポリ感覚のリズムに聴こえる楽曲は、ネタが判っていればこそ尚更ややこしい。4分割と5分割の公倍数も20拍刻みでスッキリ解決するために耳には優しいと云うオチだが、それにしてもやはり、バリトンのメロやリリカルなアコピのソロを素直に楽しむのも無理な話。と云うか、端からタイトルでも示されている通り、このギャップこそが他ならぬ作曲者の意図。それにしてもやってくれるなと云う感じ。いきなりヒートアップするクライマックスもべらぼうなインパクト。ポリリズムの呪縛も解ける中、5/4拍子が露骨に正体を現すクライマックスだが、これは映画に例えれば、悪が勝利を収める「悪魔の追跡」や「オーメン」のようなイメージ。動揺を覚えるほどのインパクトですしね。これは凄い1曲。 |