01. PATRICK 4:18
神経を逆撫でされる蚊の鳴くようなノイズが良くも悪くも印象的。キックとベースを3拍目のアクセントにするフツーの4/4のようにも聴こえる序盤だが、途中で再開する16分刻みのハットを基準にカウントすれば、次のキックとベースのアクセントは4拍目の裏。キックが4分刻みになる辺りで半拍ズレると云う事は、フツーの4/4ではなくブリッジの小節も挿入された変拍子だったと云う事だが、要はそんな拍子の構成なども、8分割りになるパートで大団円を迎える為のギミック。そんな構成などはさて置き、何より注視させられたのは、アンサンブルとしての遊びが全く無い事。いわゆるリフレイン的なプレイが一切ない。漠然とした絵コンテなどを参照にすれば、即興的なリフレインの一つや二つは当たり前のように挿入されるが、映像イメージの具現化を試みるここでは皆無だったと云う事。アルバムと云うより、この仕事での方向性が如実に示唆されている。ちなみにこの曲、映像タイトルと同名のトップナンバーだが、イタリア公開版映像で冒頭テーマとして使用されるのは、4曲目の"Visioni"。このトラックが劇中で挿入されるのは、寝たきりのパトリックに対するフラッシュライトでの反応テストを試みるシーン。 |
02. TRANSMUTE 2:25
7/4のエキゾチックなナンバー。ピニャテッリのスラップも印象的な曲だが、ここでもリフレイン的な遊びは皆無。分散フレーズに終始する鍵盤はもとより、ペンニージのギターも1~2小節に1回の割合となるストロークのみ。マランゴーロもハットワークに専念(リム的なカウントはオーヴァーダブ)。と云うか、オカズはおろか一度でもタムを触ったら罰金取られそうな緊張感。 |
03. BAGLIORE DI LUCE 2:30
トライアングルによる4分割カウントと、その2拍3連割を4分カウントにするピニャテッリのモチーフがパラレルに展開するナンバー。アカデミックなポテンシャルは充分に伝わるが、このトライアングルといい1曲目の蚊の鳴くようなノイズといいとにかく耳に障るサウンドが特徴的なアルバムですね。 |
04. VISIONI 2:21
映像ではオープニングを飾るナンバー。サビに当る2番目のメロはフツーの4/4だが、イントロから登場する7/8と4/4の循環リフを背景にする最初のメロのパートは、ポリフォニックな拍子のギミックとしてはかなり上質。亭主とは別居中、職もなかった女性主人公のペーソスを如実に物語る佳曲。鍵盤パートは、マイルドなモノシンセのテーマリフとエキゾチックなサウンドの分散リフが好対照。セカンドコーラスの手前、場違いのようにも思えるけたたましいティンパニは、映像を飾るタイトルロゴの為に用意されたお約束的なモチーフ。 |
05. SNIP SNAP (Morante-Pignatelli-Simonetti) 3:37
76年のインストアルバム「ローラー」の3曲目。B面5曲目の"YELL"と同様、その心は、アルバムのスペースを埋める為に他ならないが、ここは百歩譲っても「蛇の目覚め」とでも云いたい所。ただ如何せん、「蛇の目覚め」はシモネッティのオリジナルで独壇場。となれば、ピニャテッリとグアリニの両名がクレジットに名を連ねる「ドクター・フランケンシュタイン」と云う選択肢もあったはずだが、それでは他のナンバーのインパクトも皆無に。そもそも、この「スニップ・スナップ」と云うナンバーは、ファンクに傾倒していたと云うピニャテッリがイニシアティヴを握っていた曲。そんな事情を考慮すれば、致し方なかったと云う事なのかも。ローズのソロもグアリニだった訳ですしね。 |
06. METAMORFOSI 2:15
劇中ではエンドクレジットで挿入されるナンバー。ヴァンゲリスのようなシンセサウンドにペンニージのアルペジオとピニャテッリのエキゾチックなベースラインをミックスした曲だが、思えば、この手のナンバーはゴブリンのキャリアでも初モノ。そんな母体のサウンドにリンクさせようと鋭角に音作りされたマランゴーロのコンガも面白い。と云うか、やはり、耳に障るようなトレブル音域が真骨頂のアルバムなのかなと云う感じ。 |
07. FOLLIE 3:45
主人公の敵役となる陰険な婦長の最期のシーンを飾るナンバー。16分割のトライアングルとディシプリン時代のクリムゾンみたいなギターリフ、ベースとタイコの劇的なアクセントが真骨頂の曲だが、楽曲自体はフツーの4/4。ここでのトライアングルもまたまた耳に障るサウンドだったりするが、何れにせよ、アルバムでは最もスリリングなナンバー。 |
08. VIBRAZIONI 3:13
1曲目のヴァリエーション。能楽のようなポリシンセは健在だが、蚊の鳴くようなサウンドは登場せず。また、8分割になる直前でのAm9とAm9(11)のギターリフが1曲目より1回多い。ついては、パトリックに対するフラッシュライトでの反応テストを試みるシーンで挿入されるのは、こちらではなく本家ヴァージョンの1曲目の方。 |
09. METAMORFOSI 2a parte 2:32
"Metamorfosi"のヴァリエーション。インテンポに終始する本家ヴァージョンとはその印象も当たり前のように違う。本家ヴァージョンではコンガをプレイしていたマランゴーロは、ここではシンバルワークに様変わり。ピニャテッリのエキゾチックなベースラインは、終盤、ティンパニとのユニゾンでようやく登場。 |
10. TRANSMUTE (previously unreleased) 4:12
ここからが完全版のボーナス。タイトルは"Transmute"だが、これはオープニングテーマとして使用される4曲目"Visioni"のヴァリエーション。4曲目の"Visioni"では、最初のメロのパートで7/8と4/4の循環リフをポリフォニックな拍子のギミックにしていたが、ここでは7/8のリフと4/4のメロのパートが完全に独立。中盤以降は、7/8のリフのさまざまなヴァリエーションもフィーチャーされる。これはかなり貴重なボーナス。 |
11. VISIONI (previously unreleased) 1:43
タイトルの通り4曲目のヴァリエーション。ピアノとギターのデュオによるシンプルなアレンジ。フツーに貴重なボーナス。 |
12. METAMORFOSI (previously unreleased) 3:11
フィルムのエンディングに挿入される6曲目の公式トラックに約1分間の別ミキシングを加えたトラック。 |
13. PATRICK (previously unreleased) 3:49
トラック名は"Patrick"ながらも、これは"Metamorfosi"のヴァリエーション。9曲目の"2a parte"の"extended version"と云う感じ。これも貴重なボーナス。 |
14. TRANSMUTE (previously unreleased) 1:36
基本的には2曲目と同じ録音。2曲目の録音をアブリッジしたトラック。 |
15. BAGLIORE DI LUCE (previously unreleased) 1:29
基本的には3曲目と同じ録音。3曲目との違いは、ピニャテッリがアウトする後半のパートが割愛されている事。収録レベルもやや高い。 |
16. PATRICK (previously unreleased) 1:24
オリジナルアルバムには収録されていなかった未発表モチーフ。クラウス・シュルツやヴァンゲリスのようなシンセの多重録音ナンバー。劇中では、ヒロインに言い寄る男性医師がプールで溺れそうになるシーンで登場。ちなみにこれは、ブルーノ・マッテイ監督の「呪われた修道院」でも使用されるトラック。 |
17. PATRICK (previously unreleased) 3:01
耳に触るサウンドをのっけからフィーチャーする絵画的な楽曲ながらも、超スローなビートも存在。ペンニージのヴォリューム奏法が印象的。 |
18. PATRICK (previously unreleased) 0:56
シンセ1台によるSE的なトラック。 |
19. PATRICK (Finale) (previously unreleased) 0:43
ヴァンゲリスの「ブレードランナー」を髣髴とさせるサウンドだが、これは"Visioni"のヴァリエーション。17曲目と同様、ペンニージのヴォリューム奏法が鍵を握る1曲。 |